施政方針について
まちづくり推進のために
住民基本台帳ネットワークシステムの検討調査会からの報告書が提出されたが、
第二次稼動に向けた今後の方向性について
平成15年3月定例会
住民基本台帳ネットワークシステムの検討調査会から報告書が提出されたが、第2次稼働に向けた今後の方向性についてお聞きをしたいと思います。
この住民基本台帳ネットワークシステムの問題にしましても、昨年一般質問で何度もその危険性や問題点について指摘をし、市長から一定のご理解をいただき、検討調査会がつくられ、今回立派な報告書ができまして、関係者の皆様方のご苦労に対して心より感謝申し上げたいと思います。
この有識者などでつくった報告書を読ませていただきますと、やはりネットワークを支える基本ソフトの種類によっては、不正侵入やコンピュータウイルスに対して脆弱になりかねないということで、たとえネットワークが高い技術で支えられていても、運用する人々に自覚と緊張感が欠けるようなことがあれば思わぬリスクが発生するとあって、住民たちのこうした危惧に対して、担当の省庁や自治体が一方的にネットワークの安全性や信頼を主張し説得しても、現段階では、かえってコンピュータネットワークの本質への無理解の表明であるととらえられかねないと報告されております。
また、セキュリティーいわゆる安全面につきましても、報告書では、国の省庁の担当者の声は、住民基本台帳ネットワークシステムは安全であり信頼できると語っているが、時々聞こえてくるIT専門家集団の声はそれほど楽観的ではないとし、多くの自治体がネットワークのための基本ソフトとして、外部から攻撃を受けやすいと言われているWindowsを採用しているのも大きな危惧を抱かせ、ほかの基本ソフトに比べてセキュリティーの脆弱性は否定できなく、不正侵入やコンピュータウイルスに攻撃されやすい側面を持っているとのことであります。
ですから、志木市はセキュリティーについて、国の担当者やIT専門集団の表面上の主張をうのみすることなく、みずからを問いただし、電子自治体の本来の方向性を指し示せるような力量を蓄えていくことが求められ、この分野で仕事をしてきてネットワークを熟知している市民たちと連携していくことも重要であるとも報告されております。
また、委員の中では、住民基本台帳ネットワークシステムの利用を望まない人には接続をしない選択方式が望ましいという考えの委員が多かったとのことで、私も同じ意見を持っているわけですが、しかし実際は、どこの自治体も本来の意味での選択方式は採用されておらず、横浜方式も、安全が確認された段階で、接続を希望しない住民についても接続をするということで、住民基本台帳ネットワークシステムの理想的なあり方の一つとして、真の選択方式を考えるのも重要だと述べられております。
最終的にこの報告書のまとめとしましては、条件が満たされそうになければ離脱すべきであろうとし、住民基本台帳ネットワークシステムの理想的なあり方と現実推移の両方を踏まえながら、抜本的な解決の方向を模索していくことが重要であろうということで、3点を指摘しております。
まず1として、住民基本台帳ネットワークシステム参加の自治体及び国において、志木市の個人情報保護制度が貫かれていること。2として、行政から独立した監査組織を設け、経常的な監査に当たること。最後に3として、今後接続を望まない人の離脱を認める方向での解決を研究し、それを可能とするための方策を検討することとなっております。
この報告書の指摘を受けまして、市長は具体的にどのように判断をされて、第2次稼働を8月に控えて、今後住民基本台帳ネットワークシステムについてどういった方向性で具体的な対応をされようとしているのか、お尋ねいたします。
▼穂坂市長 答弁
ご承知のように、住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、昨年8月5日に第1次稼働がスタートし、住民基本台帳法に規定された国の行政機関などに対する本人確認情報の提供が開始されたところであります。現在、住民基本台帳ネットワークシステムを利用している事務は、地方公務員共済年金受給者の現況確認に関する事務、戦没者遺族等援護年金受給者の現況確認に関する事務などがありますが、昨年12月13日に公布され、本年2月3日に施行された行政手続オンライン化整備法により、一般旅券の発給や不動産登記、自動車登録などの 171事務が新たに追加され、今後住民基本台帳ネットワークシステムでの利用が開始される予定であります。現在、総務省と各省庁間におきまして、早期供用開始とセキュリティーの確保について協議中とのことでもあります。
ご質問の住民基本台帳ネットワークシステム検討調査会につきましては、お話にもありましたように慎重に審議をしていただき、去る2月20日に、第2次稼働に向けた今後の方向性について報告書が提出されたところであります。
その内容につきましては、お話がありましたように、住民基本台帳ネットワークシステム参加自治体等々において本市の個人情報保護制度が貫かれていること。本市は、大変よいものができているという評価でありました。第2点目としては監査組織の問題、第3点目としては、先ほどお話がありましたように、これが一番難しいわけでありますが、接続を望まない人の離脱を認める方向でその可能性を追求してほしい、こういうことでありました。こうした条件が満たされないときには、お話にもありましたように離脱すべきだろうというふうに結ばれております。
また、今報告書には、大変私も大事だなと思いましたのは、住民基本台帳ネットワークシステムの理想的なあり方、ITというものに対する今後の必要性、そういうものも含まれておりまして、大変あの報告書を重く受けとめております。今まで実施してまいりました住民説明会やアンケート調査の結果も踏まえ、報告書の内容を幾つか精査をしなければならないことがありますので、今それらの精査を行ってまいりたい、このように思っております。既に整理は始めております。
検証や確認を必要とするのではないかという項目に、1つとして、「e−japan」重点計画の目標と住民基本台帳ネットワークシステムが結びつかない最大の理由として、報告書にもありますように、「e−japan」が並列分散型、これでやる。こういったことにもかかわらず、住民基本台帳ネットワークシステムはご承知のように、その性格もあると思いますが中央集中型に位置づけておりますので、「e−japan」構想とこのことと全然結びつかないじゃないかという貴重なご意見もありました。これについても今検証を行っております。
それから2つ目、一番大事なのは、もともと住民基本台帳というのは自治事務でありますが、個人情報が市町村が関与できないところで収集かつ利用される危惧を排除するため、市町村が第三者における個人情報の収集や利用されることに関与できるシステム、この可能性についてあるかないかの確認。
それから、離脱や選択制における住民基本台帳ネットワークシステムにかかわる、要するに法的な見解ですね。ご承知のように、総務省ではネットに接続しなければ違法ですよと明確に言っています。しかし日弁連は、そうじゃないんだと、憲法が定める基本的人権等の侵害、プライバシーの侵害に当たりますが、この保障がなされない場合には、高次の意味合いではここに違法性があるので、その憲法を超えて違法だなんていうのはおかしいじゃないかと、こういうことがありますので、日弁連の正式な見解と、日弁連を構成する弁護士の関係の皆さんとこれも確認をしなければいけないだろう。
それから4番目として、確かにセキュリティーの脆弱性の問題が指摘されていますが、その確認もいたしたいと思っています。
5番目は、これはもう現実的な問題ですが、お話にもありましたように、横浜市の選択制が、これもやっぱり新聞というのはこういうものでありますが、多分新聞だけを見れば、横浜市は選択制で立派に運用していると、ほとんど全国の方、あるいは横浜市民の方だってそう思っていると思うんですね。しかし、どうもこの報告書等を見ますと、それは選択制じゃないんだと、こういうことですから、職員に横浜市にも行っていただいて、やっぱり詰めて詰めて、この辺が本当になっているかどうか。しかし、これだけの多くの国民なり。。多分インターネットなどでは、横浜市は選択制をやっているんだというのがほとんどですね。だから、そこのところどういうふうに整合性をとっているのかということも含めて確認をしたいと思っております。
もう一つ、6番目として、選択制における現行住民基本台帳ネットワークシステムの技術的な可能性があるのかどうか。選択制における実態的かつ技術的な可能性の是非、これの確認もしたいと思っておりますし、技術的にはできても、国あるいはまた財団法人自治情報センター、国・県も含めてそれを受け入れる意思はないと、こうなっちゃった場合どうなるのか。技術的、それから国等々の考え方、両方からの確認をしたいと思っています。
7番目は、先ほどちょっと触れましたが、各自治体が主体性を持った並列分散型の仕組み、こういうのを構築できる可能性があるのかどうか、このことも考えたいと思います。
8番目、最後におきまして、志木市個人情報保護制度を各自治体が活用する具体的な方策を国に確認をすることもありますし、さらに第三者による監査制度の検証、これらについても将来の方向性を含めて早急に検証作業を実施するように指示をしたところであります。
検討調査会の報告書にも記されておりますが、IT化の進展は、自治体だけではなく市民生活全般にわたり根づいていく潮流として、産業革命にも匹敵するものとも言われております。こうしたIT化によりまして、市民の負担軽減と市民サービスの向上、あるいは国や自治体を通じた行政改革を図ることを可能とするものであることも承知しております。
また、こうした流れに比例して、個人情報をはじめとする情報モラルの確立は、社会全体で取り組まなければならない緊急の課題であり、国や自治体におきましても、その確立に向け法制化を含め検討されているところであり、去る3月7日には、個人情報保護法案が国会に上程されたところでもあります。しかし、あの個人情報保護法案で住民基本台帳ネットワークシステムが大丈夫かというと、ちょっと乖離があるというふうにもとっております。
いずれにいたしましても、本年8月25日からの第2次稼働に対しまして、市民に不利益の生じないよう慎重に検討の上、早急に判断してまいりたいと考えております。
なお、報告をいただいた検討調査会につきましても、これで終わりということではなくて、中間報告ということで私、確認をさせていただきましたので、それらも今後生かしてまいりたい、ご意見を聞いていきたい、こんなふうに思っております。
●鈴木正人・再質問
懇切丁寧なご説明いただいたんですが、そうしますと、いつごろまでに答えが出そうなのかなと。第2次稼働はまた期限が来るわけですが、いつぐらいまでに志木市の方向性をまとめていこうと考えられているのか、その点だけ確認したいと思います。
▼穂坂市長 答弁
やっぱり4月の中旬前、そのくらいまでにしませんと、8月25日が第2次稼働でありますし、その準備も始まります。ですから、その辺で最終的に決定をしないといけないのかなと思っております。今議会の開会中でもありますが、担当においてはそれらを早めに詰めた上で、まず最終決断ができる材料をそろえて、今度はセンセーショナルにこのことが取り上げられることだけは避けたいと思っています。
やっぱり志木市というのは、こういう理由できちんと議論が、ただ個人情報が流れるかもわからないからやめますとか、あるいは大丈夫そうですからやりますとかというのではなくて、職員と話しているのは、理論構築がきちんとできて、それだったらどっちの方向にしてもやむを得ないなということができるように精査をし、そういう判断材料をつくった上で結論を出していきたい、こう思っております。
●鈴木正人・要望
わかりました。いずれにしましても、今後そういった部分でしっかりと理論構築をしていきたいということでありましたけれども、志木市の場合は、以前住民基本台帳ネットワークシステムを質問したときも言いましたけれども、過去の事件等もありますので、非常に個人情報を大切にしている市であるということが、そういった意味では胸を張って、過去の反省をもとに我々は真剣に考えているよという主張もできると思いますので、しっかりこの住民基本台帳ネットワークシステムの問題、市民の意向が通るような形で結論を出していただきたいと、このように考えております。