〜住民基本台帳ネットワークについて〜
平成15年6月定例会
この住基ネットの件につきましては、今まで何度も質問させていただきましたが、いよいよ8月25日の第2次稼働も近づいてまいりました。志木市住民基本台帳ネットワークシステム検討調査会再度会議の最終報告も提出され、市長が最終的な判断を下す時期に来たと思いますので、今回も質問させていただきます。
既に皆様ご承知のとおりであるとは思いますが、この最終報告書を見ますと、今後接続を望まない人の離脱を認める方向での解決を研究し、それを可能とするための方策を検討するということでありましたが、市の判断で選択制を実質的に採用するにしても、異なるデータを送信することになった結果、本人確認情報が不正確なものとなり、各種年金給付等が取り消される可能性も生じてくると考えられ、費用だけでなく改修等にかかるソフトウエアの複雑化のために、リスクがふえてしまうことにもなりかねないとしながらも、だからといって現状をそのまま受け入れるという判断も簡単には行えないということで、現時点での判断としては実現可能で、しかもよりよい選択しかないと確認し、3つの方向性がベターな選択だと考えるとのことでありました。
その1点目は、当面住基ネットへの接続を継続しつつ、さらに選択制の可能性を研究していく。
2点目は、住基ネットへの接続のために個人情報が不正に使用されたり、流出する危険性は常にあり得るので、市民による経常的なモニターが不可欠である。また市役所においても市民課だけでなく、全庁的に個人情報保護の重要性を再認識し、業務に生かしていくことも不可欠である。そのための組織づくりを行い、規定等の整備を図るとともに、実現に向けた全職員の研修や意識の向上に努めてほしい。
そして3点目は、住基ネットも試行錯誤しながら進化していくものであると考えられるので、市民と行政とが継続して議論の機会を持ちながら、理想的なネットワークのあり方を模索し、提案していくとのことでありました。
報告書の最後には、本検討委員会の基本的な判断を再認識しておきたいということで、それは住基ネット参加の自治体及び国において、志木市の個人情報保護制度が貫かれていることを求めている点であると締めくくられております。
検討調査委員の皆様には、本当に大変な苦労された様子をうかがえることができ、改めて大変立派な報告書作成に関して、私からも感謝申し上げる次第ではありますが、先ほど述べました最後の点、志木市の個人情報保護制度が貫かれていることを求めている点ということも、現在もまたこれからも貫かれていくのでしょうか。住基ネットとさきに成立した個人情報保護法の関連で、昨年の国会で政府与党内においてさえ、個人情報保護法案さえ成立していないのに、住基ネットを稼働させるのは問題ではないかという指摘があったことから、個人情報保護法さえ逆に成立させれば、住基ネットから離脱している地方自治体は接続するようになり、参加している地方自治体が離脱する理由はなくなるという理解が、政府や地方自治体にあるようでしたが、これは市長もご承知のとおり誤りであります。
本市や多くの地方自治体は住基ネットが制度化される以前から、個人情報保護条例を制定し運用しており、個人情報保護法も住基ネットのあるなしにかかわらず、ずっと以前に法制化されていなければならなかったにもかかわらず、今までそれを国がサボってきたということでしかありません。
住基ネットは、基本的に市町村の責任において管理する仕組みであることから、どのような個人情報保護法が成立しようと、市町村の財政負担や責任の重さは変わらないですし、セキュリティーが高まるわけでもないのもご承知のとおりであります。
コンピューターネットワークは今後さらに猛烈なスピードで進んでいき、国民に多くの利便をもたらすことになることは間違いないと思います。しかしデジタル情報として管理される個人情報は、猛烈なスピードで世界じゅうに拡散し、もとに戻すことができないのであります。しかも本人はそのことを知らないということで、明確な意思を持って取り組まないと、必ずやプライバシー喪失社会に陥ると言われております。
今回の法律は、行政機関は不正、または誤りを犯すことはないという前提に立ち、行政機関個人情報保護法案は利用目的の変更や、目的外利用、外部提供などを行政機関の判断にゆだね、民間個人情報保護法では関係各省庁が民間を網羅的に監視をするという仕組みになっております。しかし昨今のさまざまな中央官僚による無責任な不祥事を見ればわかるように、行政機関が情報管理を適正に行っているという前提に立つことは、大きな誤りであると言えるのではないでしょうか。その適正を客観的に担保するためには、第三者機関による監視が実は必要なのでありますが、その点は制度化されておりません。
そのような中で、先日長野では本人確認情報保護審議会で個人情報保護の体制が不十分であるとして、当面住基ネットから離脱すべきとする中間まとめを、田中知事に報告をいたしまして、新たに離脱を検討している自治体も出てきているとも伺っております。
私自身も以上のような状況からすると、やはり離脱が望ましいとは思いますが、完全に離脱ということになりますと、住基ネットにおけるサービスに、今後期待をしている市民に対して不利益を与えることも認識をしております。
あの杉並区も離脱から選択制を導入ということで、方針転換を図っていくとのことであり、ちなみに杉並区が5月に行った調査では、住基ネットへの全面的な参加を希望している区民は9パーセント、選択制による参加希望が14パーセント、不参加希望が67パーセントだったということであります。
私もそのような状況からすると、実現可能な方法で選択制を考えていくことが、今の段階ではベターなのではないかなというふうに、現時点では考えております。いずれしましても、この住基ネットの問題は市長が最終報告書などを参考にしながら、政治的判断をしなければなりませんので、場合によっては、市長みずから数々の人脈を使って上手に国とけんかをして、信念を通す場面も必要になるかもしれませんので、この第2次稼働を前にどのような決断を下すつもりなのか、市長にお尋ねをいたします。
▼市長答弁
住民基本台帳ネットワークシステムについて、ご答弁申し上げます。
ご案内のとおり、去る5月21日に志木市住民基本台帳ネットワークシステム検討調査会から、最終報告書を提出していただいたところであります。2回にわたる再度の会議におきましては、市民に参加の意思をゆだねる、いわゆる通称と言ってもいいかもわかりませんが、選択制のあり方について特に議論が集中し、慎重に審議をしていただいた結果の最終報告であり、調査会のご意見を私自身重く受けとめているところであります。
私といたしましては、住基ネットを活用したいという市民や高齢者、身体障害者の方々の利便性などを考慮いたしますと、お話にもありましたが、選択制が望ましいものではないかと考えており、職員にもその手法などについて研究を指示し、調査会にもあわせてお願いをしたところでございます。
しかしながら、将来の全員参加を前提とした横浜市における過渡的特例措置、前に申し上げましたように、一般的には選択制と呼んでおりますが、実施する事務処理などについてお話のように、データの正確性などにより、市民に不利益が生じるおそれがあるなど、調査会からも指摘がなされ、一方、市民の選択制を確保するための第3の道ともいうべき住基ネットシステムの一部修正につきましても、それぞれ検討していただきましたが、住基ネットのソフトウエアが地方公共団体共同のシステムで稼働しているものであり、そのシステムを改修するためには、都道府県及び地方自治情報センターの許可が大前提となることや、改修にかかわる費用面での市の負担増だけではなく、改修などに伴うソフトウエアの複雑化のため、リスクが増大してしまうことにもなりかねないという、マイナス要因を同時に抱え込んでしまうことになるとの調査結果が指摘されております。
第3の道を期待しておりましたが、改修などに伴うソフトの複雑化のためのリスクが増大する危険がある。こういう報告を受けまして、私に少なからず衝撃も受けておるところであります。
しかしながら、私といたしましては市民のプライバシーの保護を図ることに最大限の配慮をすることや、参加を望まない市民への対応と説明責任を果たすことは、市長としての責務であると強く認識をいたしております。
来る8月25日からは住基ネットの第2次稼働がスタートいたしますが、これまでも県知事あてに、ネットワークシステムにおける監査体制の確立及び個人情報保護制度の充実につきまして、要望書を提出したところでありますが、今後におきましては、一つとして、住基ネットに接続する全国の自治体が個人情報保護条例を設置し、大変調査会でも志木市の保護条例は高いというふうに評価をいただいております。これらも踏まえまして、全国の自治体が個人情報保護条例を設置し、お互いが市民のプライバシーを守る体制が必要であると考えているところから、これらについての総務省の見解と今後の対応。
さらに2つ目について、住基ネットの運用について独立した監査組織が必要と思われますが、今後のこれらの対応。
3つ目として、既に住基ネットに接続している市町村において、横浜市、杉並区も同様の申し出をしたようでありますが、横浜市民と同様な方策で全員参加を前提として、接続を望まない市民について一定期間の過渡的特例措置を要請した場合における総務省の見解及び是非、並びに同方式における懸念される市民への不利益は、もう既に横浜市がスタートしているわけでありますから、どのように考えているのか。あるいはそれらの不利益はないということで踏み切ったのかどうか、これらについても確認をいたしたい、こう思っております。
4つ目として、市民情報を使用されたヒカを判断するログの開示が必要と思われるけでありますが、どのような措置をされているのか。これは一定の前進がある、こういうふうに仄聞では聞いておりますが、今後どのような措置を正式に考えておられるのか。
5つ目として、住基ネットから情報が漏れる事件が生じたときなど、当然市民に不利益が生じますが、この場合における最終責任の所在、これの明確化なども確認をしてまいりたい、こう思っております。
以上、5点の要請及び確認事項について国・県に照会し、これらの回答をもとに本市の住基ネットに対する方針を決定してまいりたいと考えております。
全国の自治体で構成されております首長交流連絡会というのがあるわけであります。非常に革新的なさまざまな施策を展開している有志の基礎的自治体の方々の集まりでありますが、それらの方々からもツキあてにいろいろな質問等も寄せられております。あるいはその市町村についても真剣に考えているようであります。それらを踏まえる中で、私自身もこれらをしっかり確認し、あるいは要望し、それらを踏まえた上で慎重に決定してまいりたいと考えております。
ただ、時間に限りがありますので、これらにつきましても一定のもう時間的な制約もあるものですから、できるだけ精力的に総務省、あるいは県とも交渉を重ねてまいる、こういうことであります。
なお、時期的にはぎりぎりでも6月終わりまで、6月20日過ぎぐらいに、二十五、六日が最終的な判断になるのではないかとも考えております。ただ相手がありますので、多少のずれもお許しもいただきたいというふうに思っておりま
私といたしましては、それらを国や県に要望するばかりではなくて、今後予定されております電子政府、電子自治体というIT化に踏み込むに当たりまして、住基ネットにおける4情報だけでなく、市の保有する住民に関するさまざまな個人情報に関し、一貫した理念に基づく情報保護に努めることが肝要でありますので、文書及び電子計算機全般にわたるセキュリティポリシーの構築など、志木市としても全庁的な取り組みを図り、これらについても所定の審議会、あるいは枠組み等をつくってまいりたいと考えております。