通学区の自由化について

 平成17年3月定例会
 

 平成16年度の5月より実施されました中学校の通学区自由化について、中学校通学区1学区制度の第1段階を利用した生徒の転校は、宗岡中学校から志木中学校に5人だけが利用されたということでありますけれども、今定例会の文教都市委員会では、その転校理由は部活動に関することであるということも明らかになっております。

 私の感想といたしましては、実際に想像していたよりは転校した人数は少なかったと思っておりますし、この中学校通学区自由化が完全実施されていても、懸念されるような混乱は起きないであろうと確信をしております。部活動の関係で学校を移したということに関しましても、今現在でも部活動のあり方について、合同部活動などの抜本的な改革案が出てきていない現状では、転校理由について多少の寂しさは感じますが、仕方のないことなのだろうと思っております。

 この中学校の通学区自由化ですが、平成17年度も第1段階を続けるとの報告は既に伺っておりますし、この第1段階という5月2日から9月30日まで、教育委員会は転校の理由を問わず指定校以外の市内中学校への転校を許可するという方法も、10月1日から翌年の5月1日までの期間は、学級数を確定するための生徒数を把握しなければならない期間であり、したがってこの期間の生徒数の変化は、学級数、教職員定数に極めて大きな影響を及ぼす可能性があるということでの苦肉の策として、第1段階のやり方は理解はいたしますが、やはり一般の保護者の方からすれば、5月1日まで指定した学校に行かなければならないことによって、制服を2校分購入しなければならない手間や負担について疑問の声が上がり、完全自由化を求める声が上がっているのであります。

 今後も平成16年度の状況分析を行い、自由化企画検討委員会などの議論もいただきながら、完全実施の時期を考えているのだろうと思うのでありますけれども、同時進行で抜本的な改革を議会答弁で約束されております部活動のあり方の議論も、何か余り進んでいないような感じがいたします。

 そういった状況を見ますと、私は完全実施を早期にやるべきとの考えでありますけれども、大きな1でも触れましたように、何か競争原理でなく協力原理であるというほほ笑ましく優しい言葉のもとで、具体的な完全実施に至るビジョンがなかなか示せず、次の段階がおくれているのではと懸念をしております。先ほどのサッチャー改革の例ではありませんけれども、ある程度の競争原理が働くことは決して悪い結果をもたらしませんし、むしろ国民は支持しているという話もいたしました。当然、立場によって抵抗される方々がいることも十分承知をしております。

 しかし、一番大切なのは、一人ひとりの子どもたちの能力が伸びるために、将来自分に自信を持って社会に出させていくためには、何を早くやらなければならないのかであり、もしそのことに気づいているのであれば、多少の反発があろうとも、志木市の教育改革の理念に基づいて早期に実行していかなければ、その間の子どもたちの能力は伸びないまま社会へと送り出されてしまうのであります。

 そういったことからも、部活動のあり方なども早期に具体的改革ビジョンを示し、保護者や子どもたちのニーズにこたえる形で中学校通学区の完全自由化を平成18年度からスタートできるように進めていかなければならないと考え、2点ほど教育長にお伺いいたします。

 まず、(1)現在までの内部での議論の状況について、どのような議論がなされてきたのか、具体的にお尋ねいたします。

 次に、(2)今後の具体的な動向について、どのような手順とタイムスケジュールで中学校の完全通学区自由化を実施していくのか、お尋ねいたします。


▼教育長 答弁
 
 通学区自由化の今後の動向についての(1)についてご答弁申し上げます。

 ご案内のとおり、私どもが目指す中学校通学区1学区制は、我が子の就学先はだれが決めるのだろうかという問いが根底にございます。学校教育法施行令第5条に基づきますと、市教育委員会が保護者の意向を聞くことなしに、主に地理的条件で就学校を指定するという現行制度がございます。しかし今の時代に、果たして自立とか責任とかということが求められる時代に、このようなことでいいのだろうかという視点のもとに、保護者の意思表示に基づいて、教育委員会が就学すべき学校を追認していくという就学先決定の責任論からの制度改正を目指したものであります。

 そのため、一昨年には自由化検討委員会、さらには企画委員会などを立ち上げまして、有識者や学校現場の教員、公募委員の市民の皆様によりまして協議をしてまいりました。その結果、現状では段階的な移行が望ましいとの判断のもと、まずは現行制度の大幅弾力化である第1段階を用い、その年度内で転校の自由性を広めることから導入いたしました。

 この間、保護者、地域の方々、校長会、教職員等からもご意見、ご要望をいただいて、機会あるごとに定例の教育委員会にも提供し、検討をしてまいりました。また、自由化の期間が終了した時点で教育委員会にも報告し、常にその状況の把握に努めてまいりました。お話にもありましたとおり、今年度は期間内における転校は一けた台でありまして、またその転校理由は、教育委員会としては精査しておりませんが、指定した学校での不適応という従来あったような深刻な状況ではないというふうに聞いております。

 次に、(2)の今後の方向性についてでありますが、平成16年度の状況や学校現場の声など、今まで教育委員会に寄せられた意見から総合的に判断いたしまして、多くの市民の皆様のコンセンサスを得るには、いましばらく時間が必要であるというふうに判断をしております。

 そこで、平成17年度は現在の第1段階を継続することとしております。ただ、自由な転校が認められる期間の延長の声もありますので、5月2日から次年度の学級数あるいは教職員定数の根拠となります調査の第2回の基準日となります1210日の前日、つまり12月9日までに延長いたしまして認めることといたしました。これ以外の期間は、今までどおり転校については精査をさせていただくこととしております。

 現在、保護者の一部からは、早い時期に第2段階へ移行してほしいという意見もいただいておりますし、また、そうでない意見もいただいております。したがいまして、今後もさまざまなご意見を私ども受けとめまして、第2段階の導入に際して、先ほどもお話にございましたが幾つか問題点があろうかと思います。課題があろうかと思いますので、付随する課題等について検討する場の設置も考慮しながら、通学区自由化の趣旨に沿う制度の実現を目指してまいりたいと考えております。

●再質問

 学区の自由化につきましては、結局のところ、(2)の方に当たるんだと思うんですが、今後に向けたハードルといいますか、結局のところ今現在、課題というのは出ているので、またさらに検討するということでありましたが、今のところ思い当たるハードルというものは何なのか、再度お伺いします。


▼教育長再答弁

 まず、基本的なところでありますけれども、選ぶ側の責任ですね、保護者、生徒。それから学ばれる側の責任、これは学校でありますが、それぞれが本当に責任を持って今選んでいるのかと、そういう点であります。もちろん、具体的にそれを調査したというわけではございませんが、どうもさまざまな観点からいたしますと、まだその部分で理解がいっていないのではないかと、そういう判断を私はしております。

 第2点目でありますが、いずれ1学区制になったときの一つの課題といたしまして、部活動の問題があるかと思います。この部活動の問題というのは、やはり今いわゆる学校の教育課程として実施しているのではないという点でのさまざまな学校の取り組みの違いがありまして、温度差があります。そういう意味で、それらを十分調整していかないと、全部の生徒たちに十分対応できる体制が整えられるかというようなこともあります。そういう意味で、例えば途上の交通の問題とか、あるいは事故の責任とか、そんなこともあろうかと思いますが、そういうことを含めまして部活動の問題等々にまだ課題があるというふうに考えておりまして、それらをきちっと整理していく必要がある、そういう意味でございます。

 したがいまして、それらのことをさらに啓発し、なおかつ課題を解決するような、そういう場の設定をしていかなければならないかなというふうに考えるところであります。

●再々質問

 選ぶ側の責任、選ばれる側の責任ということでありますが、その責任ある選び方をしているなと感じる基準というのは、一体どういうことになるのでしょうか。それはだれが判断して、これならきちっと責任を持って選んでいるなというふうに理解されるのか、その点について。

 それから、部活動の問題が出ましたので、一般質問の最初のところでも言いましたけれども、理由について問わないということでありましたけれども、既に今回の常任委員会で、理由については部活動であるという話がもう公式の場で出ておりましたので、先に言わせてもらいましたが、その部活動の関係、既に9月の定例会で天田議員もご指摘されたと思うんですが、抜本的な改革の議論は今どの程度進んでいるのか、その点確認したいと思います。

▼教育長再々答弁

 選ぶ側の責任、選ばれる側の責任というところでありますけれども、これは例えば学校で言えば、学校の教育活動に対する取り組みであるとか、あるいは親の方々は、それらを十分理解していただいて選んでいるかというようなことなどの調査等もする必要があろうかというふうに思います。

 2点目は、部活動に対する取り組みでありますが、第1段階始まってから、校長会にそのための検討をということで依頼をしてあるわけでありますが、なかなかさまざまな状況がありまして、十分な検討がまだなされていないというところであります。

●鈴木正人・要望

 責任論に関しては、学校が言ったことを親御さんが十分理解して選んでいるかどうかということになりますと、それを判断するというのはなかなか難しいのかなと。

 一体だれが判断するのか、部活動で学校を選ぶというのも、親と自分の責任で選んだのだろうと私は思いますし、十分理解をしていただきたいという気持ちはわかりますけれども、そのためには、もっと情報を公開していかなければならない云々等出てきて、今の段階でホームページを公開している中学校はどれほどあるのかと言われれば、まだ私は聞いたことがありませんけれども、そういった部分での相互理解という部分をもっときちっとしていかなければならないのかなと思っておりますし、そういったものを早く整備して、私は平成
18年度に完全実施できるようにしていただきたいと思います。

 それから、部活動の関係ですが、今聞いておりますと、十分な検討がされていない。
 昨年の9月議会にそのことは天田議員が指摘しておりましたが、今の段階でも何か十分な検討ができていないということですので、これは早急にきちっとした検討をして、どういう抜本的な改革を志木市がやっていくのかというのは、具体的に示していかなければならない段階に来ていると思いますので、しっかりやっていただきたいと要望いたします。